寺島紫明《遅い朝》1971年(当館蔵)
【1】西宮の日本画家 生誕130年寺島紫明
当館の所蔵品を全館で一堂に展示する展覧会を1月22日より開催します。このたびは恒例の近代日本画コレクションのほか、昨年度の新収蔵作品と関連する作品、生誕130年を迎える西宮ゆかりの日本画家・寺島紫明の特集展示など、5つのテーマ[五題]に沿って紹介します。
【1】西宮の日本画家 生誕130年 寺島紫明
現在の兵庫県明石市出身の寺島紫明(てらしま・しめい)は鏑木清方に師事し、同門の伊東深水と並び称せられる美人画家です。東京で研鑽を積み活躍していましたが、1936年に現在の西宮市甲東園に移り住んで以降1975年に他界するまで、西宮の画室でほのかな情感を描き出す美人画を制作し続けました。生誕130年を記念して寄託を受けた大関コレクションを中心に10数点による特別展示を行います。
【2】日本画 屏風の魅力
「風を屏(ふせ)ぐ」ことを意味する屏風は、本来は広い室内の間仕切りとともに、装飾にも用いられた調度品でした。絵画作品として制作された明治以降も、左右にひろがる広大な画面が特徴の屏風は、大作を描くにふさわしい形態として受け継がれました。富岡鉄斎、橋本関雪、山下摩起による作品を集めて展示し、屏風の魅力に迫ります。
【3】日本画 院展の作家を中心に
日本美術院は1898年岡倉天心(覚三)によって創設された美術の研究団体で、横山大観や、菱田春草、川合玉堂をはじめ多くの画家たちがここに集い、伝統的な絵画技法の近代化を図り新たな日本画を切り拓きました。日本画コレクションの中から春草や大観の所属した日本美術院にゆかりのある画家たちの作品を紹介します。
【4】2020年度新収蔵作品 現代美術編
昨年度の新収蔵作品のうち、現代美術では神戸を拠点に活躍した奥田善巳(おくだ・よしみ 1931-2011)、木下佳通代(きのした・かづよ 1939-1994)と、京都を拠点に活躍する中馬泰文(ちゅうま・やすふみ 1939年生まれ)の作品が加わりました。このなかで奥田と木下の作品は植松奎二氏の旧蔵品で、三人の美術家の交流が伺えます。このたびは関連の所蔵品とともに新収蔵品の初公開を行います。
【5】2020年度新収蔵作品とともに 洋画家・亀高文子を中心に
1886年横浜に生まれた亀高(渡辺)文子(かめたか・ふみこ)は、1902年女子美術学校に入学し、卒業後は満谷國四郎に師事し活躍した女性洋画家の先駆けの一人です。1923年に神戸へ移ると赤艸社女子絵画研究所を創設して女性への洋画普及に尽くし、戦後は住まいと研究所を西宮へ移しました。昨年度3点の作品を収蔵したのを機に、亀高文子にゆかりのある画家と同時代に活躍した画家の作品をあわせて、初公開します。
- 主 催
- 公益財団法人 西宮市大谷記念美術館
- 後 援
- 西宮市、西宮市教育委員会