What I am doing No.8
1980/プリント1986
大阪中之島美術館
山沢栄子は1899年大阪に生まれ、1920年代のアメリカで写真を学び、1930年代から半世紀以上にわたり、日本における女性写真家の草分けとして活躍しました。当初はポートレートの撮影を主な仕事としていましたが、晩年の1980年代には抽象絵画のような写真作品を制作する芸術家として知られていました。とりわけカラー写真による色鮮やかな作品群は、当時の日本では他に例を見ないものでした。「私の現代/What I am doing」と題して発表されたこのシリーズには、自身の過去の作品や写真機材を写し込んだ、きわめてコンセプチュアルな表現も含まれています。山沢は、1950年代から写真による造形の実験を重ねることで、このような独自の芸術表現に到達しました。
生誕120年を記念した本展では、1970-80年代に手がけたカラーとモノクロによる抽象写真シリーズ<What I am doing>を中心に、抽象表現の原点を示す1960年代の写真集、戦前の活動を伝えるポートレートや関連資料など約140点を展示し、日本写真の流れとは異なる地平で創作を続けた芸術家の歩みを辿ります。
山沢栄子(1899-1995)
大阪に生まれる。1918年私立女子美術学校日本画科選科を卒業。1926年渡米し、カリフォルニア・スクール・オブ・ファインアーツで油絵を学ぶ。同時にアメリカ人写真家コンスエロ・カナガの助手となり、写真技術を習得。1929年帰国、1931年大阪に写真スタジオを開設し、ポートレート写真家として活躍。戦後は企業の広告写真などを手がけたのち、抽象写真の制作を始めた。1968年神戸に移り、1970-80年代に「私の現代」と題した個展を多数開催。1955年大阪府芸術賞、1977年日本写真協会功労賞、1980年神戸市文化賞を受賞。大阪中之島美術館、東京都写真美術館、川崎市市民ミュージアムなどに作品収蔵。
- 主 催
- 公益財団法人西宮市大谷記念美術館
- 後 援
- 西宮市、西宮市教育委員会、NHK神戸放送局
- 特別協力
- 大阪中之島美術館準備室、東京都写真美術館、サードギャラリーAya
本展は共同企画展として、下記会場に巡回します。
2019年11月12日(火)〜2020年1月26日(日)
東京都写真美術館
TEL.03-3280-0099
www.topmuseum.jp